エンジニアの仕事は他の会社でも活かせるスキルを身に付けやすいため転職も比較的活発な業種です。
しかし、当然のことながら転職活動では採用企業の面接官が納得するだけの転職理由が必要です。
転職活動をしている方で「今の会社の残業が多い」「職場の人間関係が悪い」から「もっと良い職場が良い」などネガティブな要因からくる転職理由も多いでしょう。
しかし、面接でネガティブな理由を述べると、面接官に悪い印象を与える可能性があります。
この記事では、エンジニアのよくある転職理由や悪印象を与える転職理由について解説します。エンジニアで転職を考えている方は、参考にしてみてください。
ITエンジニアの実際の代表的な転職理由
ここでは、ITエンジニアの代表的な転職理由を紹介します。有名な転職エージェント「type転職エージェント」によるとSEの転職理由は下記の通り。
1番は年収・待遇、2番目・3番目は業務内容・キャリアチェンジ、4番目に労働環境、5番目に会社・社風といった順番であることがわかります。
本記事ではより掘り下げてエンジニアの転職理由について説明します。
【転職理由1】年収やポジションなどより良い待遇の企業に転職したい
一つ目は、「年収やポジションなどより良い待遇の企業に転職したい」という理由です。業界にかかわらず、よりよい待遇を求めて転職するのはよくあることです。
日本企業の場合、スキルや結果よりも所属企業や年齢によって収入が決まる要素が強いため、スキルや業務内容に見合った給与のある企業に転職したいという人が多くいます。
特に自学習でスキルアップを続け現場経験も豊富な中堅・リーダーになってくると「自分の実力と待遇のバランスが取れていない」「今の会社に居続けても収入アップは大して見込めない」といった収入面で不満に思うは多いです。
シンプルに「年収を上げたい」と言う理由での転職は最も多い転職理由です。
【転職理由2】業務内容やキャリアの変化を求めて転職する
二つ目は、「業務内容やキャリアの変化を求めて転職する」といった理由です。
エンジニアとして入社したものの「入社前に想定していた仕事と違った」と思うケースもあるでしょう。
たとえば、「配属された部署で扱う技術が古くてそこでしか通用しない内容ばかり」「同じような保守・メンテナンスばかりで仕事内容が退屈」とったように、エンジニアとして本当に成長できているのか不安を感じたり、不満を持つ人もいます。
また当初は希望していた部署に配属されても時間が経つにつれ「もっとこういうスキルを身につけたい」という方もいます。
当初プログラミングをメインに扱っていても、数年経つと「ITコンサルティング的な仕事にチャレンジしたい」といったように、キャリアチェンジをしたくなる人もいるでしょう。
こういった人たちは、自分自身が望むような仕事をするために、業務内容の変化やキャリアアップを求めて転職を決断するケースも多いです。
【転職理由3】労働環境の改善を求め転職する
三つ目は、「労働環境の改善を求め転職する」という理由です。
ITエンジニアの仕事は納期の厳しさや急な仕様変更・システム導入後のトラブルなどで、残業が多くなりがちです。会社によっては、土日に出勤したり、深夜まで残業したりすることもあるでしょう。
スキルアップしたい人も仕事で手一杯で勉強や自己啓発に取り組めずストレスがかかる場合もあります。
最近は働き方改革が盛んになり、昔に比べて残業が減りつつありますが、まだまだ残業が多い業界です。残業の多さや納期がプレッシャーとなり辞める人も多くいます。
20代は毎日残業でハードワークをしていたけれど、30代で家庭もできもっとワークライフバランスを大切にしたいといった理由で労働環境を変えるために転職するケースもあります。
コロナ禍以降テレワーク希望の人も増えてきている
コロナ禍以降「テレワークの仕事をメインにしたい」という方も増えています。エンジニアの仕事はテレワークでもできるケースが多く、テレワークを認めている会社もあります。
「通勤時間の混雑を避けて効率的に仕事をしたい」「転勤族の家族に合わせてどこでも働ける会社に勤めたい」などの理由で職場環境の改善を求めて転職する方も多くいます。
【転職理由4】会社(職場環境)や社風が原因で転職する
四つ目は「会社(職場環境)や社風が原因で転職する」といった理由です。
職場環境で理不尽な上司がチーム間と意見が合わない人もいるのではないでしょうか。直接的に〇〇さんとは合わないと言うことはなくても、「会社や職場の熱血・昭和な雰囲気で自分には合わない」といったケースもあるでしょう。
また、「会社が買収されて(経営陣が変わり)今までの文化が変わった」という場合もあります。
昨今企業の変化も激しく、「会社の経営陣が変わって営業に力を入れるようになり技術の人間を軽視しはじめた」「年収や福利厚生が大きな決め手で入社したのに経営方針の変更で途中で改悪されはじめた」というケースも多くあります。
結果、自分に合った環境を求めて転職するといったケースもあります。
採用面接でNG・悪印象な転職理由
ここからは、実際に転職活動をする際に採用面接でNG・悪印象な転職理由をご紹介します。
転職の面接では、転職の理由を聞かれることがほとんどです。
自分の素直な意志を伝えることは大切ですが、そのまま伝えると面接官に悪い印象を与える可能性があります。ここでは、面接で伝えるべきでない転職理由を説明します。
ネガティブな転職理由をそのまま伝える
一つ目は「ネガティブな理由をそのまま伝える」です。
ネガティブな理由には、以下のようなものがあります。
■ネガティブな理由の例「なぜ転職をしようと考えたんですか?」に対して
- 今いる会社が残業や休日出勤が多くてしんどかったから
- 今の会社の上司や周りの人間関係がよくなかったから
- 今いる会社じゃスキルが身につかないと思ったから
- 会社の給料が安いから
転職するきっかけに「今の職場の仕事内容や待遇面で不満があるから」と考える方は多いでしょう。仮にその理由が本当だとしても、面接の場でそのまま言うのは望ましくないかもしれません。
転職の理由としてネガティブな理由をそのままダイレクトに挙げると、面接官に悪い印象を持たれる可能性があります。
場合によっては面接官に「不満ばかり言う人」「協調性を重んじられない人」と思われてしまうリスクがあります。
仮に自分が面接官だとして、転職希望者から上記のような転職理由を伝えられた時をイメージしてみてください。少なくとも好印象(プラス材料)にはならないと思います。
どうしてもネガティブな理由を言いたい場合は、第三者でも納得してもらえるような内容にする必要があります。また、「自分は改善するための努力は行ってきた」ことを伝えるほうがよいでしょう。具体的で、第三者でも評価しやすい理由が求められます。
あやふやな内容の転職理由(具体的でない理由)を伝える
二つ目は、「あやふやな内容の転職理由(具体的でない理由)を伝える」です。
あやふやな理由には、以下のようなものがあります。
■あやふやな理由の代表的な例「なぜ転職をしようと考えたんですか?」に対して
- 新しい環境でチャレンジしたいと思ったから
- 今とは違う環境で視野を広げたいと考えているから
- 御社の社風に惹かれたから(具体的な社風の内容には触れない)
「新しい仕事」や「視野を広げる」ことが目的だとしても、「どのような仕事」で「なぜその会社だと実現できるのか」を伝える必要があります。
より具体的な内容を追加説明するのであれば問題ありませんが、上記のようなあやふやな転職理由だけだと、面接官は「なんでうちの会社に転職したいだろう?」「自己分析できていない人なんだな・・」と納得してくれないかもしれません。
転職先の会社の実績などを事前に調べて、具体的に伝えられるように準備しておきましょう。その会社でなければならない理由や「自分がその会社にどう貢献できるのか」を面接官に納得してもらえるように考えておいてください。
面接で好印象を与える転職理由
面接で好印象を与える転職理由は、どのようなものがあるでしょうか。好印象を与える転職理由は、「ポジティブ」かつ「具体的」である理由です。
ポジティブな転職理由であること
面接で好印象を与える転職理由は「ポジティブな転職理由であること」です。
面接では、前職への不満を伝えるだけで終わらないよう、ポジティブな理由を述べましょう。
■ポジティブ・具体的な理由の代表例
「なぜ今の会社を辞めて転職をしようと考えたんですか?」に対して
- 自分の強みをより活かせられる環境で働きたいから
- より大きなプロジェクトを扱っている企業で経験を積みたいから
自分のスキルやチャレンジしたいこと、目指したいキャリアなどに関する理由はポジティブな内容になりやすく、面接官にも納得してもらいやすいでしょう。
また、先ほどのネガティブな理由でも表現を変えることでポジティブな印象になる場合があります。
ワークライフバランスを大切にしている会社で効率的に働きたいから
今いる会社が残業や休日出勤が多くてしんどかったから
よりモチベーションの高い人たちが集まる環境で切磋琢磨したいから
今の会社の上司や周りの人間関係がよくなかったから
自分の能力や実績が反映されやすい環境で働きたいから
会社の給料が安いから
より最新技術にチャレンジする文化のある環境で自分もスキルを伸ばしたいと思ったから
今いる会社じゃスキルが身につかないと思ったから
具体的な転職理由であること
もうひとつ面接で好印象を与える転職理由は「具体的な転職理由であること」です。
スキルや採用企業の特徴に合致するよう具体的であるとベターです。例えば以下のような理由です。
■ポジティブ・具体的な理由の代表例「なぜ転職をしようと考えたんですか?」に対して
- 自分の強みである〇〇のスキルをより活かすことができる環境で働きたいから
- 顧客と直接向き合ってコンサルティングから行う企業で働きたいから
もちろん内容が具体的で、自分がやりたいことと転職先企業で行っている事業が合っていることが大切です。
転職理由とその企業への志望理由の整合性が取れているか
転職する理由とその会社を志望する理由は整合性が取れている必要があります。
転職理由とはその名の通り「(今の会社を辞めて)転職をする理由」です。一方、志望理由とは「その会社に応募(志望)する理由」です。
例えば転職理由が「ワークライフバランスを大切にしたいから」であるのにもかかわらず、志望理由が「御社の金融機関のシステム開発に携わりたいから」では、転職理由と志望理由が一致していません。
たとえば、「ワークライフバランスを大切にしたい」が転職理由であるならば、採用企業への志望理由は「御社が会社として働き方改革で積極的に効率化を図っているから」などといった志望理由になるはずです。
もし転職理由と志望理由が一致しないのであれば、どちらかが間違っている可能性があります。一致しない場合は、自分の本当の転職理由(または志望理由)を考え直すのもよいでしょう。
まとめ
エンジニア転職でよくある転職理由や、面接で悪印象・好印象を与える理由を紹介しました。
転職理由には、前職に対する不満などネガティブな内容もあるかもしれません。しかし、面接の場で正直に伝えるかは判断が必要です。
ネガティブな理由は主観的に聞こえることもあり、第三者が聞いたときに良くない印象を与える可能性があります。場合によっては「不満ばかり言う人」だと印象付けてしまうかもしれません。
そのため、できるだけポジティブな転職理由を伝えるようにするのがおすすめです。転職理由と志望理由にずれがないよう、面接前に転職理由を整理しておきましょう。
また、もし初めて転職なら、転職エージェントを活用してみるのがおすすめです。
転職エージェントでは、こういった転職理由や志望理由についてキャリアアドバイザーがサポートしてます。
■転職エージェントを利用するメリット
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ただし、転職エージェントはうまく使いこなせばあなたの転職をサポートしてくれる強力なパートナーとなりますが、営利企業であるため自分軸をしっかり持って活動しないと踊らされる可能性もあるためその点は注意しましょう。(例. 本当は希望していない転職先を強く勧められるなど)
IT・エンジニア向けの転職エージェントの一覧は「IT・エンジニアおすすめ転職エージェント比較・一覧【総まとめ版】」をご参照ください。