ITエンジニアやWebデザイナーなどIT専門職に転職したい時に、有料のプログラミングスクールか職業訓練校にするか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、プログラミングスクールと職業訓練校の違いや両者のメリット・デメリットを詳しく解説します。
プログラミングスクールと職業訓練校の概要・違い
プログラミングスクールや職業訓練校(プログラミング系のコース)は、いずれもプログラミングスキルを学ぶことができる専門スクールです。
また、プログラミングスクールでは数十万円近いコース料金がかかりますが、職業訓練校では国や自治体が運営しているため、基本的に無料で受講できます。
ただし、プログラミングスクールは働きながら受講できる一方、職業訓練校は求職者・離職者でなければ入会できない※といった特徴があります。
※一部のスキルアップ・資格試験受験対策のための短期講習を除く。
申し込み方法や学べる内容などは大まかに以下のように異なります。
プログラミングスクール | 職業訓練校 | |
---|---|---|
運営主体 | 民間企業 | 国や自治体 |
料金 | 有料 | 基本的に無料 |
入会条件 | コース料金を払えば入会できる | 求職者・離職者である必要がある |
申し込み方法 | ホームページからお問い合わせ | ハローワークの窓口からお問い合わせ |
学べる内容 | デザイン、プログラミングなどIT関連 | デザイン、プログラミングをはじめ、医療、会計など様々な分野 |
プログラミングスクールと職業訓練校のメリットデメリットをまとめると下記の通り。
プログラミングスクール | 職業訓練校 | |
---|---|---|
メリット | オンラインで通えるところが多い 働きながらキャリアアップ目的で通える サポートが手厚い 最新技術や自分の学びたい分野を選択できる | 基本的に無料で通える(テキスト代は別途必要) 条件を満たせば給付金がもらえる 同じ目的を持つ人々と切磋琢磨できる プログラミングスキルに加え再就職に必要なスキルも学べる |
デメリット | 受講料金がかかる スクール・講師の当たり外れがある 短い期間で学ぶためクラスについていくのが大変 | 現在働いていない・かつ就職したい意志がある人に限定される 一定の受講要件があり審査に通る必要がある 基本的にオンラインレッスンはなく教室に通う必要がある 学習コースが限定される |
こんな方におすすめ | オンラインで全国どこからでもレッスンを受講したい方 働きながら転職やキャリアップの準備をしたい方 より最新の技術や自分の好きな分野を学びたい方 転職サポート・支援なども受けたい方 初期投資できるお金がある方 | 離職・求職中で受講要件を満たす方 初期投資できるお金がない方 プログラミングスキルに加え再就職に必要なスキルを学びたい方 1人だと学習のモチベーションが続かない方 |
プログラミングスクールで学ぶメリット
プログラミングスクールで学ぶメリットは大きく4つあります。
- オンラインで通えるところが多い
- 働きながらキャリアアップ目的で通える
- サポートが手厚い
- 幅広い選択肢の中から自分の学びたい分野が選択できる
1. オンラインで通えるところが多い
1つ目は、オンラインで通えるところが多いという点です。
現在、ヒューマンアカデミーやテックアカデミー、CodeCamp、デイトラなど、多くのプログラミングスクールがオンライン授業を提供しています。
オンラインだと住んでいる場所に囚われずに受講することができるため、地方に住んでいる人でもプログラミングスクールに通うことができるといったメリットがあります。
また、オンラインだと通学の必要がなくなるため、時間や交通費を節約できます。節約した時間・交通費はさらなる自己学習の投資に充てることもできるため、効率的にプログラミングスキルを学ぶことが可能です。
2. 働きながらキャリアアップの準備で通える
2つ目は、働きながらキャリアアップ目的で通えるという点です。
職業訓練校は失業中または求職中の方が再就職を目指して通う専門スクールのため、基本的には離職中の方のみ通うことができます。
一方、プログラミングスクールではコース料金を支払えば在職中でも通学することができ、働きながらスキルアップ・キャリアアップ目的での利用が可能です。
また、職業訓練校と違い、就職・転職目的でなく純粋にITスキル習得目的で通うことももちろんできます。
3. サポートが手厚い
3つ目は、サポートが手厚いという点です。
多くのプログラミングスクールでは、学習中に分からないことがあった場合、講師によるチャットサポートやメンターサポートが受けられます。そのため、独学よりも挫折しにくく、スムーズかつ効果的な学習が可能になります。
また、コース修了後には転職支援や転職保証がついているスクールもありますので、働きながら転職目的で通う人も多いです。
■プログラミングスクールで受けられるサポートの例
- コース期間中のチャットサポート
- メンターサポート
- コース修了後の就職・転職サポート(履歴書の添削、面接対策など)
- 転職保証サポート
- コース修了後のカリキュラム閲覧権
- 専用コミュニティへの参加権
など
4. 幅広い選択肢の中から自分の学びたい分野が選択できる
4つ目は、幅広い選択肢の中から自分の学びたい分野が選択できるという点です。
職業訓練校は、就職・転職をゴールとして必要なカリキュラムが組まれているため、必ずしも自分の学びたいプログラミング言語や技術を履修できるとは限りません。また、学ぶ内容は比較的クラシック(従来型)な内容が多いです。
一方、プログラミングスクールでは、クラシックな技術(JavaやC#、サーバー・ネットワークなど)に加えて、AI・機械学習やブロックチェーンなど最新技術や、RubyやPHPを使ったWebアプリケーション、スマートフォンアプリ開発に特化した内容など、多種多様なコースが用意されているため、自分の興味に合わせて好きなものを選択できます。
プログラミングスクールで幅広い選択肢の中から自分の学びたい分野が選択できるのがメリットの一つと言えます。
プログラミングスクールで学ぶデメリット
次にプログラミングスクールで学ぶデメリットを紹介します。
- 料金が高い
- 講師の当たり外れがある
- 短い期間で学ぶためクラスについていくのが大変
1. 料金が高い
1つ目は、料金が高いという点です。
料金はスクールやコースによってまちまちですが、プログラミングスクールはあくまで民間の営利企業が運営しており、受講料が50万円を越えるスクールも少なくなくありません。
ただし、プログラミングスクールによっては分割払いや、補助金・助成金を用意しているところも多いです。
そのため、なるべく出費を抑えたい方は分割払いや補助金・助成金が適用できるプログラミングスクールを検討すると良いでしょう。
2. 講師の当たり外れがある
2つ目は、講師の当たり外れがあるという点です。
プログラミングスクールはビジネスとして運営されているので、たくさんの講師を抱えていることが多いです。そのため、担当の講師によってスキルや経験などにバラツキが出てしまうことがあります。
また、現役エンジニアが講師を担当していると謳っているプログラミングスクールは多いですが、実際どのくらいの経験のあるエンジニアかはかなりバラツキがあります。
ですので、質の高い講師が在籍しているかどうかを確認するには、インターネットや知り合いからスクールの評判を確認するのがおすすめです。
3. 短い時間で学ぶためクラスに付いていくのが大変
3つ目は、短い時間で学ぶためクラスに付いていくのが大変だという点です。
職業訓練校では、3ヶ月〜6ヶ月ほどの期間で基礎からみっちり学んでいきますが、プログラミングスクールでは、最短1ヶ月のコースもあり、短い時間で効率よく学んでいくことが求められます。
ログラミングスクールでは最近では進め方も動画予習中心→不明点をメンターに質問といった方式が多く、働きながら学習時間を確保してカリキュラムについていくのは結構大変です。
そのため、プログラミングスクールでは、より主体性を持ってクラスに付いていく努力が求められます。
職業訓練校で学ぶメリット
職業訓練校で学ぶメリットには以下の4つが挙げられます。
- 基本的に無料で通える(テキスト代は別途必要)
- 条件を満たせば給付金がもらえる
- 同じ目的を持つ人々と切磋琢磨できる
- プログラミングスキルに加え再就職に必要なスキルも学べる
1. 基本的に無料で通える(テキスト代は別途必要)
1つ目は、基本的に無料で通えるという点です。
職業訓練(ハロートレーニング)は、政府からの補助金によって運営されているため、テキスト代を除いて基本的に無料で受けることができます。そのため、金銭的に余裕がなくスキルを習得したい離職者・求職者の方でも専門スキルを身につけることが可能です。
※ただし、在職者や学卒者の方を対象としたハロートレーニングは有料になります。
2. 条件を満たせば給付金がもらえる
2つ目は、条件を満たせば給付金がもらえるという点です。
職業訓練校では、雇用保険の受給資格がある方であれば雇用保険を受給しながら訓練が受講できます。また、雇用保険の受給資格がない方でも以下の要件を満たすことで月額10万円の「職業訓練受講給付金」も受け取り可能。
■職業訓練受講給付金の支給要件
- 本人の収入が月8万円以下
- 世帯全体の収入が月25万円以下
- 世帯全体の金融資産が300万円以下
- 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
- 全ての訓練実施日に出席している
- 世帯の中に給付金を受給して訓練を受けている人がいない
- 過去3年以内に、不正行為により、特定の給付金の支給を受けたことがない
レッスンの受講期間中に一定の給付金を受け取れれば一定の生活費を確保できるため、安心して訓練に取り組むことができるでしょう。
なお、職業訓練(ハロートレーニング)は大きく、雇用保険を受給している求職者の方を対象に開講されている「公共職業訓練」と雇用保険を受給できない求職者の方(受給が終わった方も含む。)を対象に開講されている「求職者支援訓練」に分けられます。
3. 同じ目的を持つ人々と切磋琢磨できる
3つ目は、同じ目的を持つ人々と切磋琢磨できるという点です。
職業訓練校では、基本的に数人〜数十人程度のクラス形式で対面のレッスンが行われます。クラスには同じ目的を持つ人々が集まってくるため、切磋琢磨しながらモチベーションを持って学習が続けられます。
また、ここで作った人脈は後々、就職活動などにも役立つことがあります。同じ業界に進む人たちとのつながりを持つことで、情報交換やアドバイスを受けることができ、自分自身の成長にもつながります。
4. プログラミングスキルに加え再就職に必要なスキルも学べる
4つ目は、プログラミングスキルに加え再就職に必要なスキルも学べるという点です。
職業訓練校は失業中・求職中の方の再就職を目的としているため、プログラミングスキルに加えて「職務経歴書・履歴書の作成」「面接対策」などの指導が受けられます。
一方、プログラミングスクールでは転職サポートが付いているコースを除くと、プログラミングスキルのみを重視していることが多いので、就職・転職の経験が少ない方には職業訓練校が向いていると言えます。
職業訓練校で学ぶデメリット
次に職業訓練校に通うデメリットを紹介します。
- レッスンを受けたい時に受けられる訳ではない
- 一定の受講要件があり審査に通る必要がある
- 基本的にオンラインレッスンはなく教室に通う必要がある
- 学習コースが限定される
1. レッスンを受けたい時に受けられる訳ではない
1つ目は、レッスンを受けたい時に受けられる訳ではないという点です。
職業訓練校では年に数回、募集期間が設けられており、その募集期間中に申し込みを行う必要があります。そのため、レッスンを受けたい時に受けられる訳ではない点がデメリットの1つです。
また、時期によっては受けたいコースが開講されていないこともあります。この場合は、受けたいコースが開講されるまで待たなければならないため、その間に学習意欲が下がってしまうこともあるかもしれません。
2. 一定の受講要件があり審査に通る必要がある
2つ目は、一定の受講要件があり審査に通る必要があるという点です。
職業訓練(ハロートレーニング)には、大きく「公共職業訓練」と「求職者支援訓練」の2つがあり、どちらも求職者・離職者の方を対象としています。
■求職者支援訓練の受講要件
- ハローワークに求職の申込みをしていること
- 雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと
- 労働の意思と能力があること
- 職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワークが認めたこと
また、訓練に申し込んだ後は訓練実施機関が定める方法(筆記試験、面接など)で選考が行われ「転職意欲が低い」と判断されたり、受講希望者が多い場合は選考に落とされる可能性があるため、誰でも気軽に受けられる訳ではありません。
なお、給付金を受け取るにはさらに厳しい要件を満たす必要があります。
3. 基本的にオンラインレッスンはなく教室に通う必要がある
3つ目は、基本的にオンラインレッスンはなく教室に通う必要があるという点です。
一般的に職業訓練校は通学型のスクールが多いです。そのため、スクールへの通学時間や交通費がかかるといったデメリットがあります。
なお、条件を満たすと通所手当(交通費)が最大月42,500円まで支給される場合があります。また、最近ではオンラインレッスンも一部取り入れている地域もあるため、詳しくはお住まいのハローワークさんで確認するのがおすすめです。
■通所手当(交通費)の受給要件・ポイント
- 最大月42,500円まで支給される
- 公共交通機関の場合は最安のルートで支給される
- スクールから2キロ未満の場所に住んでいる場合は支給されない
- 雇用保険、職業訓練受講給付金のどちらかを受給している必要がある
4. 学習コースが限定される
4つ目は、学習コースが限定されるという点です。
プログラミングスクールはプログラミングの習得に特化しているスクールのため、PythonやAI、Webアプリケーションやスマートフォンアプリ開発などIT・WEB系スキルに関する様々なコースが開講されています。
一方、職業訓練校は多くの職種に対応するため、転職・就職を目的として、限られた学習コースの中から選択しなければなりません。
プログラミングスクール・職業訓練校はこんな方におすすめ
以上のことを踏まえるとプログラミングスクール・職業訓練校は以下のような方におすすめと言えます。
- オンラインで全国どこからでもレッスンを受講したい方
- 働きながら転職やキャリアップの準備をしたい方
- より最新の技術・ソフトウェアを学びたい方
- より幅広い選択肢の技術分野から自分の学びたい分野を選択した
- コース修了後に転職サポートを受けたい方
- 初期投資できるお金がある方
プログラミングスクールではオンラインレッスンに対応しているところが多く、全国どこからでもレッスンの受講ができる点がメリットです。また、在職中でも転職やキャリアアップ目的で受講できます。
さらに、現役エンジニアの講師からレッスンが受講でき、カリキュラムは最新のトレンドに合わせて随時更新されているところが多いため、「最新の技術・ソフトウェアを学びたい」といった方もプログラミングスクールが向いていると言えます。
- 離職・求職中で受講要件を満たす方
- 初期投資できるお金がない方
- プログラミングスキルに加え再就職に必要なスキルを学びたい方
- 1人だと学習のモチベーションが続かない方
一方、職業訓練校では、離職・求職中で受講要件を満たした場合のみレッスンを受けることができます。ただし、国や自治体が運営しているため、基本的にテキスト代を除いて無料でレッスンを受けられるといったメリットがあります。
また、プログラミングスキルに加え、「職務経歴書・履歴書の作成」「面接対策」などの指導が受けられるため、就職・転職の経験が少ない方にはメリットが大きいと言えます。
まとめ
まとめです。今回は、プログラミングスクールと職業訓練校の違いや、それぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説しました。
どちらもプログラミングスキルを学ぶ際に有効な手段ですが、現在離職中か在職中か、就職目的かそうでないかなどの受講要件が大きく異なります。まずはそれぞれの特徴を抑えた上で自分に合った方を選択するのが良いでしょう。
プログラミングスクール | 職業訓練校 | |
---|---|---|
メリット | オンラインで通えるところが多い 働きながらキャリアアップ目的で通える サポートが手厚い 最新技術や自分の学びたい分野を選択できる | 基本的に無料で通える(テキスト代は別途必要) 条件を満たせば給付金がもらえる 同じ目的を持つ人々と切磋琢磨できる プログラミングスキルに加え再就職に必要なスキルも学べる |
デメリット | 受講料金がかかる スクール・講師の当たり外れがある 短い期間で学ぶためクラスについていくのが大変 | 現在働いていない・かつ就職したい意志がある人に限定される 一定の受講要件があり審査に通る必要がある 基本的にオンラインレッスンはなく教室に通う必要がある 学習コースが限定される |
こんな方におすすめ | オンラインで全国どこからでもレッスンを受講したい方 働きながら転職やキャリアップの準備をしたい方 より最新の技術や自分の好きな分野を学びたい方 転職サポート・支援なども受けたい方 初期投資できるお金がある方 | 離職・求職中で受講要件を満たす方 初期投資できるお金がない方 プログラミングスキルに加え再就職に必要なスキルを学びたい方 1人だと学習のモチベーションが続かない方 |
なお、以下の記事では未経験におすすめのプログラミングスクール・Webスクールをいくつか紹介しているので、興味がある方はこちらも併せてご覧ください。
今回は以上になります。最後までご覧いただき、ありがとうございました。